とある国の小さなお城。

そこにあるじいやの部屋は、こじんまりとした所でした。

薄いベッドと古ぼけたクローゼット、それに小さなテーブルとイスが置かれただけの部屋に、じいやの姿がありました。

いつもかけている丸い眼鏡を丁寧に拭きながら窓の外を見ました。

辺りはすっかり黒の絵の具で塗りつぶされていました。

じいやが寝る準備をしていると、上にあるお姫様の部屋から泣き声が聞こえてきます。

「どうされました、姫様」