高野との旅行は一泊だが、ゆっくりと時間が過ぎた。 それほど会話はいつものようにないが、私の質問する事にはちゃんと答えてくれた。 奥さんの事、子供の事、学生時代の事… 私の家庭よりはまだ上手くいっているように聞こえた。 帰り際は、やはり離れがたい。 高野もそう思ったのであろう、私達は帰り道の途中にあったホテルへ入った。 もう、ホテルへ入るという私のほんの少しの抵抗感はなくなっていった。