唇を離して、トモは言った。


「二人でゆっくりできる所に行こう」





少し歩いた所にあるシティホテルに入った。

洒落た作りの部屋は妙に生々しくなく、良かった


「何か飲む?」

トモは冷蔵庫を開けて言った。

「ワインでも開ける?」


グラス二つをテーブルに置き、器用にボトルのコルクを抜いた。


トモの動作ひとつひとつに無駄はなく、慣れているのだと感じた。

「どうぞ」

ワインを注いだグラスを渡してくれた。

「ありがとう」

言って私は酔っているせいもあるのか、すぐにグラスを空けてしまった。


「まだ飲む?」

トモは言った。

「うん、もう少し」

私はグラスを置いた。

トモは私に顔を近付けてまた唇を私の唇へ当てた。


ぬるいワインが私の口内に注ぎこまれた。


それを唇を当てたままで飲み干し、私はそのままトモの唇を少し吸った。


それに答えるかのように、トモは舌を優しく動かす。


しばらくそうしあっていただろうか、やがてトモの手が私の胸を触り始めたとき、声が出てしまった。



高野とは違うやり方。

期待感も感じながら、私は身をまかせた。