一言で言えば、そうだ。
嘘ではない。
「相性の問題か、それは仕方ないね」
そうだね、と私は答えた。
自分の事の話なのに、いまいちピンと来なかった。
ひとごとみたいだ。
これ以上聞かれるのも嫌だったので、私は反対にトモに聞く。
「トモは彼女は?」
「いないよ。いたら、真樹さんとこうしていないって」
お決まりの、ありきたりの言葉。
アルコールが高かったのか、私がおかしいのか分からないが、2杯程飲むと私は酔ってしまった。
暗い店内。
並べられたカクテルの瓶達。
マスターは離れたカウンターにいる一組のカップルと談笑している。
それらを眺めながら、ふと横を見るとトモがいきなりキスをしてきた。
軽い、唇が触れただけの。
「いただき」
トモはにこっと笑って言った。
突然の事で一瞬、頭がまわらなかったが、グラスを持つトモの手や、横顔が現実味をおびて私の視界に入った。
その手と、横顔に私は欲情した。
「もう一回、して」
トモは強く私を見つめて、またキスをした。
今度は、強く。
