終わった後の高野はいつも優しい。 ワンボックスの後ろの席で私は高野の肩にもたれかかっていた。 高野は私の髪をそっと撫でている。 細めの長い指で。 高野といると、深い海の底にいるみたい… 私はいつも高野といると、不思議と言葉を忘れたように大人しくなる。 この人の穏やかな雰囲気に、身をまかせている。 「高野さんて、癒し系だよね」 言うと、高野は少し笑った。 私はバックの中の離婚届を思った。