旦那は翌日は何事もなかったかのような顔で仕事へ行った。
いつもそんな旦那が不思議でたまらなかった。
私は仕事の昼休みを利用して、市役所へ行き離婚届を取りに行った。
婚姻届を出したのは2年前だった。
まさか、離婚届を取りに来る事になるなんて。
薄い紙を封筒に入れて、溜め息をつく。
自由になろう。
私は、暴力を振るわれた事がきっかけだとしても、とんでもない事をしてきているのだ。
だって、私は他の男と…。
自分がなんとも情けなく、どうしようもない女なのだと思った。
ジャケットの中の携帯が震えた。
昨日の夜にバイブにしたままだった。
携帯を開けると、メールの受信だった。
高野からだった。
『真樹、元気かな?今日は仕事が早く終わりそうなんだけど、もし良かったら会えませんか?』
高野らしい、丁寧なメールだった。
いつも、こんな感じ。決して、敬語を崩さない。
私はすぐに返信する。
返信の内容はもちろん、OKだった。
今日は高野の顔が見たかった。
