初対面だけど、お互いにメールである程度は知ってるので楽だった。

お互いが結婚しているという事も分かっていた。


男は高野と言い、市役所に勤めていた。

名刺が欲しいと言うとくれて、名刺には課長と肩書きが付いていた。


私は高野を観察する。
アイロンのかかったシャツ。

細めの綺麗な指。

眼鏡の奥の穏やかな目。


一番好きだと思ったのが笑った時の唇だった。


私達は一時間半ほど食事して店を出た。

このまま、帰るのは嫌だな…多分お互いがそう思った。


外は小雨が降り出していて、高野は

「もう少し話する？」
と言ってきた。

立ち話もなんだしと側に停めてあった高野の車の中で話をすることにした。


ワンボックスカーで中は綺麗に片付いていた。

高野の雰囲気そのものだった。


知らない男の車…このままホテルとか行ってしまうんだろうか…。
いや、今日はダメだ。まだ会ったばかりだ。
私、この人といつかそうなりたいと思ってるんだ…。