私は言葉に詰まりそうになった。


「男の人もいたけど、友達の旦那さんだよ」
冷静を装って言ったつもりだか、どうしても声がうわずった。


どこで見られたんだろう?


まさか、路地であんなことされてる所を見られたとか?



グルグルとさっきまでの駅前での事を思い出す。


頭が真っ白になりそうだった。



「嘘つけ、男と二人きりだっただろ」

私をきつく睨みながら、言う。


見られたんだ!


冷や汗が出た。



「違うよ、他にもいたし」

これで通すしかない。

「そう言い張れは済むと思ってんのかよ」

言って旦那は立ち上がる。

私にゆっくりと歩み寄る。


目付きが違う。


また暴力を振るわれる。

嫌だ、嫌だ!



私は後退りしながら、旦那から目をそらさない。


心臓がバクバクと音を立て、足もとから力が抜けそうになる。


「他の男とやってたんだろ!」


一瞬にして私の襟元を掴み上げた。


ぐっと引き寄せられ、私は顔を背けた。



また、殴られる!