こんな事をして私は何を求めたんだろう…。


マンションに着き、エレベーターで部屋の階に着いて降りる。

玄関を開けると旦那の靴。


帰ってたんだ…。


さっきまで他の男とホテルにいた私は、一瞬にして妻の顔に切り替わる。


そんな自分が少し凄いと思った。



「早かったんだね」

私はいつも通りに寝室へ行き着替えた。


携帯を、バイブに切り替えるのも忘れない。
そして、なにくわぬ顔で旦那のいるリビングへ戻る。


「どこ行ってたんだ?」

突然旦那が言った。

目は新聞に向けたまま。


ピリッとした空気を感じた。


「友達に誘われてご飯行ってた」


すんなりと出る嘘。


まさか、気付きはしない。



「駅にいただろ?」



「えっ、うん。駅前で食べたよ」

びっくりした。


まさか…。



旦那は新聞から顔を上げて、言った。



「男とメシかよ」