「そう?」
私はもう早く帰りたかった。
身支度も済ませ、ソファーに座りトモの一服が終わるのを待っていた。
「そんな真樹さんの表情にドキッとするんだよね…」
どうでもよかった。
早く出たい。
「また、会おうよ」
煙草の火を消して、トモは言った。
「真樹さんの寂しさを埋めたいな」
その言葉にカチンときた。
私の何が分かるというのだろうか。
何をもってして埋めるというのか。
言い返したい気もしたが、それすらもどうでもよかった。
「旦那、帰って来るかもしれないから帰らないと。出ませんか」
私はさっさと身を起こして帰りを促す。
会計を済ませ、駅まで送ろうかと言うトモを断り、一人帰り道で私は行かなければよかったと、後悔した。
一度限りの相手とセックスした自分に後悔と、精神の伴わないセックスに。
じゃあ、高野とは精神が伴っているのか?
分からない…。
体はセックスできても、完全に精神はついて来なかった。
