「トモさんも、思ったより若いですよね。すごい、背が高い」
お互いの会った感想を言いながら、地下にある居酒屋へ入る。
週末だけあって店内は混んでいた。
運良くすぐに入れ替わりで入ることができた。
高野とも、こうして最初は居酒屋だった。
こんな時に高野を思い出すなんて、私は何をしているんだろう。
少し切なくなる。
「真樹さんは、結婚してるんだよね。今日は旦那さんは大丈夫?」
何杯かのビールを飲み、私達は少しずつくだけて来た。
「旦那は今日は会社の旅行。」
お酒も進むにつれ、旦那の存在が薄らいでいく。
他の男と飲みに来てるなんて、誰か知ってる人が見たらとんでもない事なのに…。
私は、自分で自分をダメにしていってるのだろうか。
私達はお店を出て、歩いた。
酔った足が、少しおぼつかない。
ふいにトモが私の腰に手を伸ばす。
背が高いから寄り添う形になる。
なんとなく、次の行動と言葉が予測された。
「休憩、しようか」
トモは、サラリと言う。
もう、こんな展開を求めてくる男に私は少しがっかりした。
だいたいこんな知り合い方、こういう展開になるに決まっている。
私だって、分かっていた。
