それからだった、私は少しばかりメールのやりとりをしている男と会う事になったのは。
それはたまたま旦那が、会社の一泊の温泉旅行に出かける日だった。
待ち合わせは駅前の公園だった。
10分程早く着いた私は少し緊張しながらベンチに座り待っていた。
「すいません、真樹さん?」
携帯をいじっていた私は不意に声をかけられ、顔をあげた。
年上のはずだが、見た目は若く初めて高野と会ったようなインパクトはなかったが、第一印象は悪くなかった。
「待ちました?もっと早く着くつもりだったんですけど、道が混んでて…」
「私も今来たところなんで、大丈夫ですよ」
そう言ってベンチから腰を上げ、向かい合う。
私が見上げる事に気付く。
背が高い。
「真樹さんてメールでは、淡々としてるから真面目な感じの人なのかと思ってたんですけど、綺麗な人で緊張します」
嬉しそうに男は言った。
名前はトモという。
「またまたぁ」
私は愛想よく返す。
