私からいいとは言ったが、いくら妊娠の心配はないとはいえ、勝手にされると少し嫌だった。
「ねぇ、もし私が妊娠したらどうする?」
と聞くと、
高野は少し驚いた顔をして、間をおいて言った。
「ピル、飲んでるんでしょ?」
「飲んでるけど、まぁ、もしもの話だよ」
私は明るく、軽く言った。
「真樹がそうなっても、俺には責任は取れないよ」
高野は言った。
当たり前だ、取れないし、取って欲しいなんて思ってもない。
でも、現実をかいま見た感じで私は少しガッカリした。
お互い離婚して一緒になろうとか、そんな言葉が欲しい訳でもないし、ましてや、望んでもいない。
不毛な関係で、ただ楽しいだけのそれだけの関係。
それに改めて気が付いた。
そうだ、高野とは一時だけの関係。
もしかしたら、セックスだけと言ってもいいのかもしれない。
何かあっても私を助けてくれる訳でもないんだ。
現実を見た気がした途端、私は高野に対して少し気持ちが変わった。