「結衣は?」

突然名前を呼ばれて、私は体ごとドキッとなってしまう。
い、今、呼び捨てだったような……?
聞き間違い……?

どぎまぎしていると、瞬くんは私を伺うように聞いてくる。

「名前、結衣って呼んでいい?」

いいもなにも、もう呼んでるんですけどと思いつつ、私はコクリと頷く。

「俺のことも、瞬って呼んでよ」

何気なく言ってくれているのに、まだまだ私にはハードルが高くて呼び捨てにできない。必要以上に緊張してしまって、心臓の音が早くなるばかりだ。

私は悟られないように残りのパンケーキをモソモソと頬張った。さっきよりも甘さが増している気がして胸がきゅんとなる。

「パンケーキ、美味しいけど思ったより甘いね。半分で正解だった」

「うん、私もそう思った」

といいつつ、ペロリと食べて綺麗になったお皿を見て二人で笑う。

何だろう、この気持ちは。
何かよくわからないけど、この空気感がすごく気分がよくていいなと思った。