人魚のお姫様

王女たちの心ない言葉に、エラは大きく傷つく。こんなことを言われるからと、幼い頃から人魚だということを隠すように言われていたのだ。人魚になった姿を見たのは、たった一人だけだ。

「エラ」

泣き出しそうになったエラの顎を、ディランが優しく持ち上げる。そして、そのままキスをした。優しいキスだ。

「お前は何があっても俺の嫁にする。こんな奴らの言葉、気にする必要はない。俺だけを見ていろ。もう恐るな。俺に恋をしろ」

ディランは、気付いていたのだ。エラがディランと釣り合わないと想いを諦めようとしていることを……。その思いに気付いてもらえて、エラは嬉しさがこみ上げてくる。

「確かに、今の行動は将来の王妃と国王に対する無礼ですね」

王妃が冷たく言い、水をかけた王女は顔を真っ青にした。

「エラ、愛してる」

そう言い、ディランはエラにキスをしようとした。それをエラは手で止める。

「私も、愛しています」

強引なディランに、いつの間にか恋に落ちていた。エラは微笑み、ディランに自分からキスをする。