人魚のお姫様

王妃の言葉に王女たちは「はい」と返事をし、使用人に楽器を持って来させる。エラは楽器が弾けない。歌にしようと決めた。

「では、私から!」

優雅にお辞儀をし、一人目の王女はピアノを弾いた。上品な音が大広間にあふれ、王妃は演奏に聴き惚れている。もちろん、エラも感動していた。

王女の演奏が終わると、大広間に拍手が沸き起こる。王女は嬉しそうに微笑んでいた。

ヴァイオリン、フルート、ホルン、ハープなど王女たちは楽器で美しい演奏を披露していく。どの演奏も素晴らしく、一番など決められない。

最後に、エラの番がやってきた。ここまで全員が楽器を演奏している。

「私は、楽器は何も弾けません。なので、歌を披露したいと思います」

エラがそう言うと、「歌ですって!」と冷やかしの声が聞こえてくる。それを無視し、エラは口を開いた。アカペラで歌うしかない。

エラが歌ったのは、切ない恋の歌だった。愛する人には別の愛する人がいて、ついにその人は結ばれてしまうというもの。エラはその人の気持ちになり、歌う。