人魚のお姫様

モーニングルームには、すでに他の王女たちは集まっていた。ディランと一緒に入ってきたエラを見て、王女たちは一斉にエラを睨む。

「エラ」

ディランは王女たちに見せつけるように、エラの腰に腕を回して席に案内した。その席は、昨日の夕食の時と変わらずディランの隣だ。

「今日は、エッグスラットか。とてもうまいぞ」

「エッグスラット?初めて聞きました」

「ビンの容器にマッシュポテトを詰めて、生卵を落として湯煎にしたものだ」

「おしゃれですね」

敬語は使わなくてもいい、とディランは言っていたが二人きりでない時は敬語を使おうとエラは考えた。それはディランも分かっていたようで、普通に接してくれる。

ディランはエラにだけ話しかけ、他の王女には目もくれなかった。

そして朝食を食べた後、エラたちは大広間に集められる。王妃とディランが前に立ち、王女はもちろん、エラも緊張した。

「今からみなさんには、王女として教養があるのかをテストしたいと思います。まずは、音楽です。王女たるもの、楽器などはしてきたことと思います。何でも構いません。楽器や歌をこの大広間に響かせてください」