人魚のお姫様

「俺のことはディランでいい。あと、敬語もやめろ。どうせ夫婦になるんだからな」

自信ありげにディランは言うが、エラは心配になってくる。

「もし、私が勝負に負けたら……?」

「何が何でもお前を嫁にする。母上はあんな風に言っていたが、俺が頼めば認めてくれるだろう。なんだかんだ言って俺には甘い」

そう笑い、ディランはまたエラと唇を重ねる。部屋に唇の重なる音が響き、エラは恥ずかしくなっていった。

「さて、人間になれたか?」

ディランがそう言うので、エラは「それは水に濡れないとわかりません」と言った。

「よし。なら、今すぐ確かめるぞ」

ディランがエラを抱き上げようとしたので、慌ててエラは逃げる。

「確かめるってどういうこと?」

「風呂に入れて確かめるんだ」

「ディラン……も入るの?」

「夫婦になるんだから問題ない」

「いや、あると思うんだけど!」

エラが抵抗すると、ディランは諦めてくれたようだ。その代わり、人間になっていたかどうかを報告することを言われてしまった。