ありったけの恋心をキミに

こんなにそばへ来ることなんてなかなかないから、ここぞとばかりに隅々まで見てしまう。

しばらく、彼もぽかんとした表情で私を見ていたけれど、数秒するとわずかに眉根を寄せ、自分の体へと視線を下ろしていく。つられて私もその胸元へと目を向けた。


「……あ」


そこでやっと気がついたの。佐藤くんの白いシャツが、フレンチトーストの卵で黄色く汚れてしまったことに。


その数分後、私は上だけ体操着に替えた佐藤くんのあとを追い、校舎の端の手洗い場まで行っていた。


「……」


黙々と、汚れた部分を洗う佐藤くん。

シャツを濡らし始めた時に『私がやります』と声をかけたが、彼は手を止めてくれなかった。


「……ただの食パンにすればよかった」


フレンチトーストにしたことを後悔する。

6枚切りの食パンだと荷物になっちゃうし、全部は食べきれない。そう考え1枚売りのフレンチトーストにしたのだけれど、ぶつかれば服を汚してしまうという想像ができていなかった。