ありったけの恋心をキミに

「これ……ふたり乗り!?」


気づくと、憧れだったシチュエーションの中にいる。

興奮してしまい、思わず大きな声でそう問うと、佐藤くんは前を向いたまま言った。


「……やりたいこと、まだまだあんだろ」


それは、あの昼休みを思い出させる言葉。

あの時の私、いっぱい憧れを語っていた。

でも佐藤くんは、それらを全部笑い飛ばしていたのに。まさか、叶えにきてくれたの……?

心の中で聞いた瞬間、佐藤くんは言葉を付け足してくる。


「勝手に終わらせんなよ」


胸の奥がぎゅううっとつままれたような感覚。


「っ……」


終わりたくないよ。……終わらせられるわけがない。

だって、私はまだこんなにも……。


込み上げてくる思いが涙腺を弱くする。

私はありったけの想いを込め、彼のブレザーの裾をつかんだ。


――まだ好きでいていいですか? 片想いでもいいから。






END