ありったけの恋心をキミに

「おい!」


幻の佐藤くんは手首をつかんできた。でもその感触は妙にリアルで……。

おかしいと思い、おそるおそるまぶたを開けてみると、そこには本物としか思えないほど立体的な彼の姿があった。


「え? なんで?」


幻じゃない……としたら、なんでここに?

夢でも見ているような気分になった。

あ然としていたら、佐藤くんは不機嫌そうに伏し目がちで尋ねてくる。


「どこ行くの?」


聞かれて「散歩」と答えたけれど、いろいろわからないことばかりで、まったく頭がついていかない。

彼は私の手を引っぱって、自転車の後部へと誘う。導かれるままうしろに乗り、目の前の背中をぼんやり眺めていたのだけれど。


「あっ」


もしかして、この状態って……。