ありったけの恋心をキミに

「……はぁ」


この数ヶ月、私は自分の日常の大半を佐藤くんで埋め尽くしていた。

なんでもすぐ彼へと結びつけて考える癖までできている。


「戻れる気がしない」


佐藤くんに出会う前と同じ生活は、もうできないよ。


「っ……」


ため息をついて気がゆるんでしまい、今にも泣きそうな状態。

薄い涙で、視界のまっすぐな草道がじんわり滲む。


「……あ」


遠くに、自転車に乗ってこちらへ向かってくる佐藤くんの姿が見えた。

幻覚……?

見ないよううつむき、まぶたを閉じると、今度は。


「大宮」


自転車が止まる音と、あの大好きな声が聞こえてくる。


「……!」


とうとう幻聴まで……。

失恋ってこんなふうになってしまうものなの?

どんどん自分が変になっていくのが怖くなり、慌てて両耳を手で塞ぐ。

すると……。