ありったけの恋心をキミに

さっきも歩いた道だけど、冬の空はたった数分でこんなにも色を変えてしまうんだなぁ。まだ明るかったはずなのに、もう薄暗くなっている。

行くあてもなくとぼとぼ歩く私は、また佐藤くんを思い出す。朝の手紙を渡す瞬間を振り返っていた。


「これ、いつまで続くんだろう……」


恋することをやめれば、自分の中からすうっと相手の情報がなくなるように思っていたけれど。そんなわけなかった。

ずっと佐藤くんのことばかり。最後に見た彼のぽかんとした表情が頭から離れない。

この気持ち、恋をしている時よりも強いように感じる。


「これが……失恋かぁ」


実感はまだないけれど、結構ツラい。

近所の河川敷まで歩き、一度足を止めた。

遠くの道路から車の走る音がして、なんとなくそちらへ目を向ける。


「そういえば、この道……」


佐藤くんと歩いたことがある。

図書館で長居をしてしまった日、暗くて危ないからと言って、彼は家の近くまで送ってくれた。


「あぁ。本……返しに行かなきゃ」


まだ返却していない参考書があった。

図書館へ行けば、ふたりでいたことを思い出して、またツラくなるんだろうな。