ありったけの恋心をキミに

その日、帰宅して靴を脱いでいると、未希がDVDを片手に駆け寄ってきた。


「これ、言ってたやつ。借りてきたから観よー?」

「あー。あの漫画の……」


映画化されたお話だ。

確か、すれ違いの末に別れてしまう男女の物語だったよね。

主人公は別れてからも相手を想い続けていた。


「……」


なんだろう。物語の主人公と今の自分を重ねてしまう。

漫画を読んだ時の私は、すぐに諦めなかった主人公をすごいと思っていた。尊敬する気持ちで見ていたの。

でも、そうじゃない。


「……諦めなかったんじゃない。やめたくても諦められなかったんだよね」


今ならわかる。

だって、私も今日一日、ずっと佐藤くんのことを考えて、胸が張り裂けそうだから……。


「ごめん、未希。ちょっと……散歩してくる!」

「えっ、今帰ったばかりでしょ!?」


今のこの気持ちのまま映画を観てしまえば、きっと、また泣きそうになる。そう思って、一度外へ出た。