ありったけの恋心をキミに

「期待なんて……」


してないよ。そう心の中でつぶやく時、ちくりと胸が痛んだ。

体を起こし、パジャマごしで胸に手を当ててみる。


「……両想いになりたいなんて、思ってないのに」


思ってないけれど、もう遠くから眺めるだけの日々には戻りたくないとは思っている。

だって、知ってしまったから。一緒にいたら楽しい、って。いろんな表情を見ちゃったから。


「……私、欲張りになってるな……」


交流が少し減っただけで、こんなに悩んでしまうなんて。


『好きでいちゃダメですか!? 片想いでもいいんです!!』


今の気持ち、あの時とは全然違う。

そう気づいたら、一気に不安が押し寄せてきた。


「ど、どうしよう」


佐藤くんが優しかったのは、私が片想いのままでいいんだと言い切っていたからなのかも。


「……伝えすぎてる」


クラスメイトで男子にマフィンをあげていたのは、ほとんどが彼氏持ちの子だった。

片想いしている子は渡すか渡さないか悩んでいたけれど、私は悩むこともなく……。


「図々しかったよね……」


一緒にいてくれるから気持ちを言いたくなって。

笑ってくれるから、言っても大丈夫なんだろうなと安心して。


「だから……そっけないのかな」


一線を引かれたのかもしれない。


「どうしよう……」


また戻る? 遠くから眺める自分に。そう考えたけれど、戻れる自信がない。

でも、戻らなきゃ、そのうち嫌われてしまうかもしれない。今以上に避けられて、冷たくされて。

そうなるくらいなら……。


「身を、引いたほうが……いいよね」


嫌われて終わるのは、イヤ。

そう答えを出した私は、まぶたを閉じて、静かに決意を固めた。