「……ッ!!」


ドン、と体に響く衝撃。同時に頭がくらっとした。

無事にちゃんとぶつかることができたけれど、勢いがありすぎたせいか、少しめまいが。

鼻までぶつけた。その痛みがやわらいでからまぶたを開けると、真っ先に見えたのは喉仏が尖った首。

そのままゆっくり視線を上げると、ビックリした表情の佐藤くんと目が合った。


「わっ……」


近すぎる距離に驚いて咥えていたパンを落としてしまった。

拾わなきゃと思ってはいるけれど、目の前の綺麗な顔からすんなり目が離せない。

すっきりした顎のラインに、黒髪がよく映える白い肌。顔のパーツはどれも上品に整っているけれど、中でも、鋭さのある奥二重の瞳がとてもカッコいい。

なんだか、佐藤くんって少女漫画の中にいそうな人だ。