ありったけの恋心をキミに

ピコン、ピコン、とリズムよく鳴り続ける電子音。

送信すれば、佐藤くんは30秒くらいで返してくれる。


【ありえねー。人に毒見させたんだ。笑】


味見はしていないと話したら、意地悪な言葉が届いた。

今、ああいう表情をしてるんだろうな。見えなくても、なんとなくわかってしまう。


【毒見って! 違うよ!】

【調理実習では、ひとり3個までって決まってたの。だから、全部佐藤くんに食べてもらいたくて……】


冗談で言われているだけだとわかっていても、ついムキになってしまい2通も送っちゃった。

すぐに返してくるだろう。そう思ってスマホが鳴るのを待っていたのだが、なぜかその時だけ届くのが遅かった。

他のこともしてるのかなと気にしてはいなかったんだけど。


【風呂】


約1分ほどしてから届いた言葉はたったの2文字。


「……昨日は寝るまで話してたのに」


思っていたよりも早く終わってしまった。

会話の長さが物足りなくて口をとがらせてしまったけれど、仕方なく意識を勉強へと戻す。


――この時の私は、やり取りが少なかったことや、遅かったメッセージには2文字しかないことを深く考えてはいなかった。忙しいのかなと思う程度で。

そんな佐藤くんの様子をおかしいと感じ始めたのは、それから3日経ってからのことだった。