ありったけの恋心をキミに

1時間ほど図書館で勉強してから家に帰った。

玄関の鍵を開ける音が聞こえていたのだろう。ドアを引いた瞬間、しかめっ面のお母さんと対面した。


「こんな時間まで。いったい、どこに行ってたの!」

「……映画館」


嘘をつきたくはないから正直に答えた。

けれど、映画と聞いたお母さんの表情はより険しくなる。


「で、でも!」


慌ててカバンから出した1冊の本。


「図書館にも行ってきたの!」


掲げるようにして参考書を見せると、お母さんは開きかけていた口を閉じた。

私はその表情を見つめつつ、図書館を出る前の佐藤くんとのやり取りを思い出していた。