ありったけの恋心をキミに

数分経って、数学の参考書を手にテーブル席へと移動していたら、通路の隅でスマホを触る佐藤くんの姿を見つけた。


「それにしても……ちょっと意外だなぁ」


この数ヶ月、毎日見てきたけれど、休憩時間の佐藤くんは友達と活発に過ごすことが多かった。

図書室で本を読む姿なんて一度も見たことがない。


「……」


佐藤くんにはそんな一面もあるんだな。そう珍しく思うと同時に、頭の中を未希の声がよぎる。


『どんな性格なのか少しでもわかるといいね!』


性格かぁ。まだはっきりとはわからないけれど……。


『映画とか、俺が誘ったら喜ぶ?』


佐藤くんは一方的にではなく、相手の気持ちを汲みながら誘う人なのかなぁ。

この図書館に来ることも、もしかしたら、私が行きそうな場所はと考えてくれたのかもしれない。

……そうだったらいいな。