ありったけの恋心をキミに

学校からも近い新設の図書館は、内装のすべてが木目調ということもあってか、とても落ち着ける雰囲気だった。

佐藤くんは館内に入ると、すぐにそばを離れていく。

ひとりになった私は、スマホで時刻を確認した。


「……まだ大丈夫だよね」


これ以上、お母さんを刺激したくないという気持ちもあるけれど、もう少し佐藤くんと一緒にいたい。

そんな私の目に入ったのは参考書がずらりと並んだ本棚。

その中から家にあるのと同じものを見つけ、自然と手が伸びた。だけど……。


「……」


手のひらを見て、シアタールームでのことを思い出した。


『あのシーンの繋ぎ方はこうじゃなく、こう』


繋いだ時の感触をはっきりと思い出せる。


「……なんで汗ってかいちゃうのかなぁ」


今はもう乾いているけれど、握られている間、私の手はびっしょりと汗をかいていて……。

汚いと思われていないか少し心配だ。