ありったけの恋心をキミに

「あの……」

帰るって言わなくちゃ。早くしなきゃお母さんがもっと怒る。

そう思ってはいるけれど言葉が出てこない。本当はまだ帰りたくないから。

悔しくて唇を噛んだ。高校生になっても状況はなにも変わらないんだなぁ、って痛感して。

こんなふうに黙っていても迷惑をかけるだけだ。もう帰ろう。

そう決めて、しぶしぶ口を開いたのだけれど……。


「新しくできた図書館に行ってみたいんだけど」


と、私よりも先に、佐藤くんが話し始めた。


「……図書館?」


首を傾げつつ、私は歩き始めた佐藤くんのあとを追う。