ありったけの恋心をキミに

失敗しちゃったかな。ドラマのようにきちんとできていれば、今頃はいいムードになっているはずなのに。

ヘタくそな自分にがっかりしていると、ちょうど予告が終わったのか、シアタールームはより暗さを増していく。

気を取り直し、映画に集中しようと姿勢を正したら……。


「俺もそのドラマ観てたけど」


佐藤くんはスクリーンを見上げたままそう言って、私の手を振りほどいた。

仕方なく、自分も手を引っ込めようとしたら……。


「あのシーンの繋ぎ方はこうじゃなく、こう」


彼はそう言って、引きとめるように私の手首をつかみ、手のひらを合わせてくる。


「っ、えっ……」


指と指を絡められ、恥ずかしさで顔と耳がカーッと熱くなる。


「明るくなったら離すからな」


佐藤くんは冷静にそう言ってきたけれど、私はその表情を見ることもできず、うなずくだけで精いっぱいだった。


――観たのは人気俳優がたくさん出ている恋愛映画。

ところどころに笑えるシーンがあり、ラストは少ししんみりするハッピーエンドのお話。


一応、内容は頭に入っている。

でも、全然集中できなかった。意識はずっと繋いだ手に向いていたから……。