ありったけの恋心をキミに

それから数分後……。


「へぇ。映画デートか!」

「うん。あ、でもお母さんには……」

「あ~、言わない言わない! 安心して!」


解いてもらう間、日曜の予定を話していた。

映画に誘われたと言ったら、未希はすごく喜んでくれたけれど、お母さんのことを言ったら黙ってしまった。

しんと静まる中、未希はぽつりとつぶやく。


「やめちゃう気がしてたよ」

「え?」

「真面目なお姉ちゃんのことだから、恋すること自体をやめるかもなぁって」

「あぁ……」


図星だった。映画に誘われるあの瞬間まで、私は佐藤くんを好きでいることを諦める方向で考えていたから。

言葉を詰まらせると、未希は場の空気を変えようとしているのか、明るく笑みをこぼす。


「“佐藤くん”だっけ? どんな人?」

「どんなって……?」

「外見とか。そういうのまだ聞いてなかったじゃん?」

「あぁ……見た目はカッコいいよ。モデルの人みたいで」

「へぇ、お姉ちゃんって意外と面食いだね〜!」


こういう恋バナ、中学時代はよく憧れた。

好きな人の話をする友達がキラキラ眩しく見えて……。