ありったけの恋心をキミに

――中学時代、私は勉強しかしていなかった。


『やりたいことは高校生になってから!』


そうお母さんに言われていたから。

お母さんは意地悪でそう言っていたわけじゃない。あれは私を心配しての言葉。


幼い頃の私は、食事をとるのもひとりで着替えるのも、人一倍時間がかかる子で。

九九の暗記も、リコーダーを上手に吹けるようになるのも、他の人よりずいぶん遅かった。

そのたびにお母さんは応援してくれたし、できるようになるまで根気よく見守ってくれていた。でも……。


『未華はなにをやっても人より遅いんだから、人よりがんばらないと高校に入れないわよ』


中学生になった時、部活を反対された。

勉強がおろそかになると心配したのだと思う。私はふたつのことを同時にこなせるタイプではないから。


早く高校生になりたかった。

してみたいことが増えるたび、高校生になればと気持ちを抑えていた。

周りが恋バナで盛り上がっている時も、私は聞くだけだったの……。