ありったけの恋心をキミに

言葉に詰まってうつむくと、佐藤くんは面倒くさそうにため息をつく。


「ブランケット……あれ、客全員にやってたサービスだし、借りたのはあんただけじゃないんだよ。だから、その時のこと言われても、俺、客なんてひとりひとり覚えてないから」

「……サービス」


あれは全員にしていたこと……。


「それに、笑いかけるのって普通じゃない? 接客なんだし」


接客……。たしかに佐藤くんの言うとおりだと思う。

お店にいた時、他のお客さんにも微笑みかけていたことは知っている。

全員にしていたこととは思わなかったけれど、別の席にブランケットを持っていくところも見かけていた。


「で、でも!」


この数ヶ月、毎日、佐藤くんのことを考えてきたの。


「私、あの日から佐藤くんの笑顔が大好きで! 笑った顔を見かけるたび、ついつい見惚れてしまって」


佐藤くんに会えるから学校へ行くことが好きになった。毎晩、寝る前に朝が早くくることを願っている。

ブランケットの貸し出しは全員にしていたことで、あの笑顔も私だけに向けたものじゃない。そうだとしても、あの瞬間、私が恋に落ちたのはまぎれもない事実だから。