「嬉しい、津野くん!ありがとう!ありがとう!」
「え、何…ウザいんですけど。」

ずいっと距離を詰めてお礼を連呼する私を、津野くんは迷惑そうな顔で押し戻した。私はそれでも抑えきれなくて、1人手で顔を覆ってニヤニヤしてしまう。

津野くんに褒められた。
津野くんが気づいてくれていた。

そのことが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

「津野くん、今度からノート貸してあげようか?」
「いや…いいです。」

得意げにペンを振りながら、津野くんに笑いかける。
津野くんは相変わらず迷惑そうに目も合わせない。

「そしたら忘れ物減るかもしれないのにー。」
「…それ、何の関係があるんだよ…。」

「んー。ヒミツ!」

津野くん、大好きだよ。
この気持ちにも、いつか気付いてね。

(完)