尚くんが近付くだけで、こんなにクラクラするのに。
私なんか敵うわけないじゃん、バカ。
尚くんをキッと睨みつけた。
だけど、尚くんがあまりにも楽しそうに笑うから。
私はもう何も言い返す気にならない。
「映画なんかより、菅原のこと見てる方がおもろいわ」
ほんと、ずるい。
こんな笑顔見せられたら私、何されても許してしまいそうだよ。
…今回はまだ、許さないけどね。
ぷーっと、ほっぺを膨らませたまま。
私は大人しく、尚くんの後ろをついていく。
どこに連れて行かれるかは、まだわからない。
狭い通りを抜けて、現れたのは。
「ここに来るには、あの狭い道を通るしかないんだよ」
カーキ色でレトロなキッチンカー。
タピオカ屋さんだった。
