「なに、いきなり」 「ちょっと尚くん探してくる!」 こんな気持ちのままじゃ、きっとなにを食べたって美味しく感じない。 「ちょ、桃子」 突然のことに驚くゆりちゃんに、もう一度「ごめん」と手を合わせると、私は走った。 「…気つけてよ、ほんと」 溜息混じりのゆりちゃんの声は、私の耳に届くことなく空気に消えていく。 あの時あの瞬間、確かに私は他の女にキスをしている尚くんに心を奪われた。 だけど何でだろう。 今もし誰かと尚くんがって考えたら、すっごく嫌だ。