わたしには刺激が強すぎます。



高校一年生の私、菅原桃子には少し刺激の強すぎる出来事だった。
入学から半年にして、こんな場面に遭遇するとは。


まだ、心臓がうるさい。
だってあんなに熱っぽい男女の声、初めて聞いたんだもん。


「…って、やば!」


キーンコーン…
鳴り響いたのは、1限目が始まるチャイム。
つまり、遅刻どころか1限目にすら間に合わなかったことを告げる、絶望の音だった。


高校生活にも慣れた今日この頃。
気が抜けてしまったのか、すっかり私は遅刻常習犯として認知されている。


そして今も。
あんな出来事があったとはいえ、うっかりしていた。


砂煙を巻き上げ、猛ダッシュで教室へ向かう。


まーた、やっちゃった。
私も悪いけど、だけど!
今日のは多少、仕方なくない…?