わたしには刺激が強すぎます。



相手の女は尚くんに抱きついて、こちらには背を向けているから私の存在には気付いていない。


その女は栗色のウェーブがかかった長い髪と、テロテロした素材のブラウスを着ている。
…恐らく音楽教師の西條マリ子だろう。


通称、フェロモンを奏でる女。
音楽の選択を取っていない私でももちろん知っている、男子の中でマドンナ的存在のお色気先生だ。


私はなんとか、忘れていた呼吸を取り戻したけれど、体は凍りついたまま。
どう動いたらいいか、わからない。


そんな私に見せつけるかのように、尚くんは西條先生の女性らしいラインの身体に手を沿わせる。
そして絡みつく先生をじらすように、首筋にキスを重ねた。


その姿は到底同い年とは思えない。