はじめ惹かれたのは普段とは違う大人の顔をした尚くんだった。


だけど色んな顔を知って、今では。


「…ぜーんぶ?」

「はっ。あほくせ」

「クールに見えてよく笑うんだ、尚くんって。」


…やだな。
尚くんの話してたら、会いたくなっちゃうよ。


「しかも意外と甘党で。タピオカとか好きなんだよ!」


会いたい…尚くん。
今どこにいるんだろう。
何をしているんだろう。


「それに、不器用で。友達作るのとか下手で、」

「誰が不器用だよ。」


………へ?


声が重ねられて。
私は弾かれたように、声が落ちてきた方を見上げた。
その声の正体は。