「まぁいつも変か。」
「ひどい!!!」
「っていうか、桃子が隠し事なんて無理だから。言ってくれんの待ってるわ。」
いつもゆりちゃんには、何もかもを見透かされてしまう気がする。…さすがだ。
そんなゆりちゃんに、私は思わず拍手してしまいそうになった。
そこで初めて、手を擦り剥いていることに気が付く。
「うわ、結構血出てる」
「保健室行きなよ。ついてこうか?」
「うーん……試合始まったところだし、1人で行くよ。ありがとう」
…ほんと、この鈍臭さには自分でも呆れるわ。
職員室の隣の隣。
生徒が授業を受ける教室とは違う校舎に、保健室はある。
授業中の今、この校舎は随分と静まり返っている。
サッカーの音すらここには届いていない。
