「…んっんん」
息をするタイミングがわからなくて、苦しい。
振り解けない手がフェンスにぶつかり、カシャン、カシャンと何度も音を立てている。
やだ…やだよ、尚くん……。
私はこんなことがしてほしいんじゃないよ…。
「はっあ…」
尚くんの動きが止まると、ようやく呼吸ができた。
唇と手が解放される。
くらりと目眩がしたのは、真っ先に鼻を通ったのがバニラの甘い香りだったせいかもしれない。
「はぁ…はぁ……」
乱れる呼吸が恥ずかしい。
私はピリピリと麻痺した唇を手で覆った。
初めてのキス、だったのに。
乱暴に奪われてしまった。
