そこまでの道のり、私たちは一言も会話を交わさなかった。
少し距離を開けて歩き目的地へ辿り着く。
遮るものがない屋上は風通しが良くて、下にいる時よりも寒く感じた。
びゅうっと通り過ぎた風に首を埋めながらも。
初めて尚くんに想いを伝えた時のことを思い出した。
その時は初めて見た尚くんの顔が綺麗過ぎて、たじたじになったよね。
尚くんはポケットに手を突っ込んで、フェンスにもたれかかっている。
「…尚くん、昨日はありがとう。」
「こちらこそ。」
手が震えるのは寒いからなのか緊張してなのか、わからない。
後ろに組んで、ギュッと握る。
