わたしには刺激が強すぎます。



──────バカみたい。


尚くんと付き合いたいのに、他の人と付き合って気を引く。
そんなことどう考えても変だ。
…だけど。


嫌そうな顔しながらも付き合ってくれたこととか、手首を掴まれたこととか、お化け屋敷から逃げ出した私を見て笑っていたこととか、ジュースをくれたこととか。


今日の出来事がまだ、暖かい温度のまま私の中にあって。
頭から離れてくれなくて。
消えそうになくて。


私は残りの麦茶を一気に全部、飲み干した。


「…真琴は、いいの?」

「…おー。」


もしそうすれば、尚くんが振り向いてくれるなら。
少しでも可能性があるなら。


「…お願い、します。」


バカな私は、小さくそう言った。