クリスマスがなんだって言うのよ、
クリスマスがなんだって言うのよ、
クリスマスがなんだって言うのよ、

「クリスマスがなんだって言うのよーっ!!」

学校帰りの街中、クリスマスシーズンが近いこの日本中は今ほかほかカップルでいっぱいだ。

それを何度も見る羽目になったその先輩は先週片思いしていた相手に振られたばかり。

だからよけいにカップルを見るたび苛つきが半端じゃなかったのでしょう。

彼女は手に持つハンカチを口に加え噛みちぎれそうな勢いでムキーっと引っ張っていた。それを見ていた後ろに居た僕ら2人はゾッとなって肩を寄せ合いました。

「こ、今年は去年より荒れてますな」

「やべえから他人のフリしようぜ、アイちゃん」

「そうですね、ユウちゃん」

気付かれないようささっと居なくなろうとしたのですがその先輩は見逃してくれませんでした。

ガシッ

「「ぐえっ!!」」

首に巻いたマフラーを掴まれたせいで首が締まり苦しさで顔が真っ青になっていくのが自分で分かりました。

ユウちゃんは泡まで吹いてる始末です。

「ど、こ、に、行、く、き、か、し、ら?♡」

おぞましい笑みを浮かべるその先輩、ラブ先輩を見てまだ生きていたユウちゃんは「どこにも行かねぇです!」とぶんぶんと首を激しく横に振っています。さすがですユウちゃん。

「褒められるとこじゃねぇからぁっ!」

おやおや心の声が聞こえてしまっていたようです。こりゃ失敬。