先生は溺愛ダンナさま  旅行編

こんなことくらいで、取り乱したりしたくないのにやっぱりさっきの話が頭から離れない。


カフェにはお客さんは少なかったけれど、家族連れやカップルばかりで、一人で座っているのは私だけだった。


なにやってるんだろう、私、旅行に来てまで1人孤独に浸っているなんて。


いつも仕事で帰りが遅い旦那さまをこんな風に1人寂しく待っていることは多い。


だけど今は、やり場の無い寂しさをどこへ持っていけばいいかわからなくて悶々とするばかり。


理人さんの昔の彼女って人は留学先にいるから今日の同窓会には来れなかったらしい。


だから彼は私をあの場へ連れて行ったんだろうな。


才能にあふれた美人ピアニストって、理人さんのお相手として申し分の無い相手、私とは全然違う。