先生は溺愛ダンナさま  旅行編


その話を聞けば聞くほど私は俯いていって自分の足元ばかりを見つめていた。


ただ、理人さんの昔の彼女って話がなまなましくて胸の奥に大きな石でも詰め込まれたみたいな嫌な気分になった。


そして心が黒い霧で覆い尽くされたみたいで、むなしかった。


「そうなんですか」


ポツリと力無く呟いて彼女達に背を向けた。


ノロノロと理人さんの元に戻るとまだ、ミナさんと話していたけれど彼の腕をクイクイと引っ張った。


「理人さん、私ひと足先に部屋に戻ってるね」


「うん、わかった。1時間くらいしたら戻るから」


「ううん、いいよ。ゆっくりしてきてね」


いつもだったらすぐに顔に出ちゃう私にしては、上手に笑えていたと思う。