先輩と、一時間。

「里歌、今何て言った?」


「やだ、言わない」

絶対私のことからかってるもん。



「何か聞こえたんだけどなぁ」

「何も言ってないです」


本当に?と、先輩が顔を近づける。



「確か……ちょっとでも長く、先輩の……
そ…ば…に……?」


「そんなこと言ってないです……」


「ふぅん。そうなんだ。
じゃあ、こうしよっかなー」


そう言って、先輩は私を後ろから抱きしめた。



「ちょ、ちょっと!先輩?」

「里歌が言ってくれるまで離さない」

「歩けないですって!」

「ん?まあそれも良いんじゃない?」



道の真ん中でイチャイチャしている私たちは、通学、通勤途中の人から冷たい目を向けられる。