先輩と、一時間。

「なんで…寒いのに」


「里歌に会いたかったんだ」




先輩の姿が滲んでいく。

やっぱり、私は、先輩のこと…………





「ねぇ里歌。ちゃんと話がしたい」

私の涙を拭いながら、先輩が言う。



「俺、里歌になんかした?
悪いけど、俺、何にもわかんないんだよ」







黙ったままの私を見かねて、先輩がベンチに連れていく。



「寒くない?」

先輩はブレザーを私に掛け、先輩のマフラーを巻いてくれた。



「………ありがとう…ございます」


「大丈夫。それよりちゃんと教えて」


「……はい」


私は腹を括った。